SALAアンケート集計 -1997インターネットの利用-

1 調査の目的

埼玉県内の大学・短期大学図書館41館で構成するSALA(埼玉県大学・短期大学図書館連絡協議会,Saitama Academic Library Association) では、毎年一度「実務担当者研修会」を実施している。平成9年11月、9回目を数える本研修会のテーマは「インターネットの利用」と決定した。これに先立ち、研修プログラムを計画するにあたって各館の現状を把握するためアンケート調査が実施された。

2 調査対象館

SALA加盟41館.

3 調査方法

各館へアンケート用紙を郵送.FAX又は郵便にて返送.

4 調査実施期間

1997年10月23日〜11月7日

5 調査の実施担当

SALA会員幹事校企画担当

6 有効回収率

40館(97.5%)

7 回収標本の構成

国立大学図書館 1
私立大学図書館 26
公立短期大学図書館 1
私立短期大学図書館 12



≪結果≫
1.

貴館では館内のコンピュータをインターネットに接続してますか?

表1
大学 比率 短大 比率 全体 比率
はい 19 73.1% 5 35.7% 24 60.0%
いいえ 7 26.9% 9 64.3% 16 40.0%
(単位:館)

図1

「貴館では館内のコンピュータをインターネットに接続していますか?」という問いに対して回答があった40館のうち「接続している」と答えた図書館が24館(60%)、「接続していない」と答えた館が16館(40%)であった。大学図書館26館では19館(73.1%)、短期大学図書館14館では5館(35.7%)が「接続している」。


2.

( 1.で「はい」と答えた館のみ回答)

接続年月 ___年___月頃

回答の傾向より6つの時期に分けることができた。

表2
大学 比率 短大 比率 全体 比率
95年3月以前 2 10.5% 0 0.0% 2 8.3%
95年4月から95年9月 5 26.3% 0 0.0% 5 20.8%
95年10月から96年3月 2 10.5% 0 0.0% 2 8.3%
96年 4月から96年9月 2 10.5% 1 20.0% 3 12.5%
96年10月から97年3月 2 10.5% 2 40.0% 4 16.7%
97年4月以降 6 31.6% 2 40.0% 8 33.3%
(単位:館)

図2

「接続している」と答えた館の接続時期を問うた。[95年3月以前]には大学図書館2館のみであったが、[95年4月から9月]に5館(大学図書館)に増えた。その後毎時期2〜4館ずつ増加し、[97年4月以降]の時期に大学図書館6館、短期大学図書館2館の合わせて8館が接続を開始したのが顕著である。


3.

( 1.で「いいえ」と答えた館のみ回答)

接続予定の有無

表3
大学 比率 短大 比率 全体 比率
@予定あり 2 28.6% 2 22.2% 4 25.0%
A予定なし 4 57.1% 6 66.7% 10 62.5%
B予定未記入 1 14.3% 1 11.1% 2 12.5%
(単位:館)

今後の計画についての設問である。表には示さなかったが、各館の計画予定時期は次のとおりである。@平成9年内に大学で1館、A平成10年内に大学で1館、短大で1館、B平成11年には短大で1館、である。以上より、平成11年4月には、回答があった39館のうち71.7%が「接続」することになる。


( 4.以下は 1.で「はい」と答えた館のみ回答)
4.

接続形態は?

□大学や学校法人でドメインをもらって接続

□プロバイダーと契約して接続

□その他

表4
大学 比率 短大 全体 比率
大学や学校法人でドメインをもらって接続 18 94.7% 4 80.0% 22 91.7%
プロバイダーと契約して接続 1 5.3% 3 60.0% 4 16.7%
※短大2館が両方
(単位:館)

「大学や学校法人でドメインをもらって接続」というのは、学内LANを経由して外部(インターネット)に接続するということ、「プロバイダーと契約して接続」というのは一般公衆回線を経由するということ、と理解する。
大学図書館では、95%が、ここでいう「ドメインによる接続」である。大学・短期大学合わせた全体でも91.7%がこの形態をとる。ちなみに外部のプロバイダーに接続してインターネットを利用していると答えた2館は、後の設問5.で、「利用者にインターネットを開放しているか」の問いには「いいえ」と回答している。


5.

館内のインターネットを利用者に開放していますか?

□はい

□いいえ

表5
大学
比率
短大
比率
全体
比率
はい 7 36.8% 3 60.0% 10 41.7%
いいえ 12 63.2% 2 40.0% 14 58.3%
(単位:館)

「インターネットに接続している」と答えた24館のうち、インターネット端末を「利用者に開放」しているのは10館(41.7%)である。これは回答のあった全40館でみると25%にあたる。

5-1.

(5.で「はい」と答えた館のみ)

台数

利用者用 ___台 事務兼用 ___台

表5−1

大学平均 短大平均 大学最多 短大最多
利用者用 4 2.7 10 4
事務兼用 2.3 4 9 9
(単位:館)

インターネット端末を利用者に開放していると回答した10館の端末の台数を利用者用、事務兼用の別に問うた。利用者に開放している端末の平均台数は大学図書館では4台、短大図書館では2.7台であった。同じく最多台数は大学図書館で10台、短大図書館で4台である。

5−2.

(3.で「はい」と答えた館のみ)

利用できる時間

□原則として開館時間中いつでも

□一定時間帯だけ (通常__時から__時まで)

表5−2
大 学 比率 短大 比率 全体 比率
原則としていつでも 7 100.0% 3 100.0% 10 100.0%
一定時間帯だけ 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

(単位:館)

インターネット端末を利用者に開放していると回答した10館のなかで、利用できる時間を制限している館は0館であった。
5−3.

(3.で「はい」と答えた館のみ)

手続

□カウンターでの申込が必要

□カウンターでの申込は必要なし

表5−3
大学
比率
短大
比率
全体
比率
申込必要 2 28.6% 0 0.0% 2 20.0%
申込不要 5 71.4% 3 100.0% 8 80.0%
(単位:館)

インターネット端末を利用者に開放している場合、特に「図書館カウンターで申し込み手続きが必要か」という設問である。10館のうち8館(80%)が「不要」と答える。手続きが必要とするのは大学で2館、短大では0館であった。

5−4.

(5.で「はい」と答えた館のみ)

プリントアウト

□できる □できない

表5−4
大学
比率
短大
比率
全体
比率
できる 5 71.4% 2 66.7% 7 70.0%
できない 2 28.6% 1 33.3% 3 30.0%
(単位:館)

インターネット端末を利用者に開放している館で利用者がプリントアウトする場合の設問である。
まずプリントアウトできるか否かであるが、インターネット端末を利用者に開放している10館のうち7館(70%)がプリントアウトできると答えている。これに関しては大学・短大とも比率に際立った差はない。
5−5.

(5−4.で「できる」と答えた館のみ)

プリントアウト

□無料 □有料

□金額 (____円/枚 その他______)
□徴収方法 (______________)

□枚数制限あり □枚数制限なし(___枚/人 その他____)

表5−5−1
大学
比率
短大
比率
全体
比率
有料 2 40.0% 0 0.0% 2 28.6%
無料 3 60.0% 2 100.0% 5 71.4%
(単位:館)

表5−5−2
大学
比率
短大
比率
全体
比率
枚数制限あり 0 0.0% 2 100.0% 2 28.6%
枚数制限なし 5 100.0% 0 0.0% 5 71.4%
(単位:館)

プリントアウトできる場合の料金の徴収についてである。先の5−2.で「プリントアウトができる」と答えた7館のうち、「有料」と回答した館が2館(28.6%)であったのに対し、「無料」と回答した館が5館(71.4%)であった。有料で実施しているのは大学図書館2館であるが、料金の徴収方法については残念ながら無回答であった。
次に、プリントアウトできる枚数に制限があるかの有無を問う。「プリントアウトできる」と答えた7館のうち、2館(28.6%)が「枚数に制限を設けている」と回答、5館(71.4%)が「制限なし」と回答した。
5−6.

(5.で「はい」と答えた館のみ)

制限事項

□一人当りの利用時間 (____時間)

□その他の制限事項 (_________________)

インターネット端末を利用者に開放している場合のその他の制限事項があるかという設問である。これについては制限をしているという回答はなかった。


6.

図書館のホームぺージを開設していますか?

□はい

□いいえ

表6
大学 比率 短大 比率 全体 比率
はい 9 47.4% 2 40.0% 11 45.8%
いいえ 10 52.6% 3 60.0% 13 54.2%
(単位:館)

「図書館のホームぺージを開設していますか?」という設問である。ホームページを開設するということは、まれに例外があるとしても、設問1.にあるように「インターネットに接続している」ということがその前提となろう(「接続していない」と回答した館でホームページを開設していると答えた館はなかった)。設問1.で「接続している」と回答した24館のうち、ホームページを開設していると回答した館は11館(45.8%)であった。残りの13館(54.2%)は「インターネットに接続しているがホームページを開設していない」ことになる。

参考までに、図書館のホームぺージに関する日本全国での統計は以下の通りである。

表6−1
大学数 作成館数 OPAC(WWW/telnet) OPAC(WWW)
国立大学図書館 99 86 86.9% 70 70.7% 60 60.6%
公立大学図書館 51 27 52.9% 5 9.8% 4 7.8%
私立大学図書館 420 163 38.8% 65 15.5% 55 13.1%
570 276 48.4% 140 24.6% 119 20.9%
引用:『日本の大学図書館、公共図書館とのリンク+OPAC』,上田修一教授のページより http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/libwww/libwww.html 98.1月6日現在 )

今回の調査では埼玉県下40館(有効回答のみ)のホームページ開設率は23.3%になる(国立大学1館は除く)。これは私立大学の全国平均(38.8%)を下回る。また、OPACについてはWWWとtelnetを区別していない数字ではあるが、15.3%であり、これについては全国平均とほぼ同じ数字になる。


7.

(6.で「はい」と答えた館のみ)

どんなメニューがありますか?

□開館日程・時間 □図書館利用のしかた □新着資料案内 □館報

□図書館概要 □投書箱 □館内案内図 □交通案内図 □紀要

□文献複写の申込 □購入希望図書の申込 □自館蔵書検索システム

へのリンク □学外ホームぺージへのリンク □その他( _____ )

図7

設問7.はホームページのコンテンツについてである。設問側で設定したメニューがあるかないかという形式での問いである。これを回答の多い順にグラフ化した。なお、図書館ホームページの評価については慶応大学上田教授のホームページ( http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/libwww/libwwwranking.html)を参考にされたい。ここでは、客観的な基準を容易し、点数評価を行っている。今後のコンテンツ作りの指針になるであろう。
7-1.

(4.で「はい」と答えた館のみ)

誰がメンテナンスしていますか?

□図書館員 □図書館以外の職員 □外注 □その他

表7
大学 比率 短大 比率 全体 比率
図書館員 7 77.8% 1 50.0% 8 72.7%
図書館員以外の職員 1 11.1% 0 0.0% 1 9.1%
外注 1 11.1% 1 50.0% 2 18.2%
その他 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%
(単位:館)

図書館ホームページをメンテナンスしているのは、ホームページを開設している11館のうち8館(72.7%)が図書館員自ら行っている。


8.

業務上よく利用する学外サイトまたはホームぺージを3つ挙げてください。

図8

設問には「業務上よく利用する学外サイトまたはホームぺージを3つ挙げてください」とあり、続けて「何の業務のためにそのサイトを利用するのか」を質問としている。回答は自由記入で3つ挙げる形式である。「よく利用するサイト」を回答の多い順にグラフ化した。「何の業務のために・・・」は表現の違いこそあれ、多くは所蔵調査、事実調査、目録業務であった。まず、圧倒的1位は「学術情報センター」であり、当然ILLやCATの利用である。業務上は、「所蔵調査」や「目録業務のため」ということになる。1位以外は同数2位が6つある。このうちYahoo、gooなどは「事実調査」での利用が多い。BOOKS、TRCは「文献調査」、中でも「出版情報・新刊情報調べるため」に利用されている。有料サービスでありながら日外WEB、OCLCも顔を見せている。


9.

図書館としてインターネット端末の利用指導をしていますか?

□はい

□いいえ

表9
大学 比率 短大 比率 全体 比率
はい 5 26.3% 0 0.0% 5 20.8%
いいえ 14 73.7% 4 80.0% 18 75.0%
未回答 0 0.0% 1 20.0% 1 4.2%
(単位:館)

図書館としてインターネット端末の利用指導をしているのは、インターネットに接続しているという24館(設問1.参照)中、5館のみであった(20.8%)。短期大学図書館では5館中では0館であった(未回答)1館。


10.

返却期限切れの督促や文献複写の到達通知等を電子メールで行っていますか?

□返却期限切れの督促
□文献複写の到達通知
□学生に対して
□学生に対して
□教員に対して
□教員に対して
図10
大学 比率 短大 比率 全体 比率
返却期限切れの督促を
□学生に対して 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%
□教員に対して 0 0.0% 1 20.0% 1 4.2%
文献複写の到着通知を
□学生に対して 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%
□教員に対して 2 10.5% 0 0.0% 2 8.3%
(単位:館)

返却期限切れや文献複写等の到着通知等を電子メールで行っているのは非常に少ない。



この件に関する問い合わせは,下記宛にお願い致します。
E-mail : library@ccb.shukutoku.ac.jp 葛西信雄 (最終更新日:1998.12.15.)
※訂正1 「調査実施期間」について“1996年10月23日〜11月7日 ”と掲載していましたが、“1997年10月23日〜11月7日 ”の誤りでした。ご指摘下さった方ありがとうございました。
※訂正2 「図10」の「文献複写の到着通知を:教員に対して」の数値中、『全体』の「0」を「2」に、『比率』の「0.0%」を「8.3%」に訂正いたしました。